コラム106 ~隣の芝生

コラム106 ~隣の芝生

投稿日時:2023年5月8日

 「しあわせって何だっけ」

 明石家さんまが1987年に発表したヒット曲で、キッコーマン「ポン酢しょうゆ」のCMでも歌われ、人気になりました。

 国連は、毎年3月20日の「国際幸福デー」に「幸福度ランキング」を発表しています。(2012年から毎年実施)
 調査は、「生活の満足度(アンケート)」の他に、「一人当たり国内総生産(GDP)」、「社会保障制度などの社会的支援」、「健康寿命」、「人生の自由度」、「他者への寛容さ」、「国への信頼度」で計算されます。
 今年も、発表されましたが、日本は相変わらず順位が低いせいか、ほとんどニュースになっていませんでした。


 2023年の『世界幸福度ランキング』
1位「フィンランド」2位「デンマーク」3位「アイスランド」、、15位「アメリカ」、、47位「日本」、、57位「韓国」、、64位「中国」、、70位「ロシア」、、、92位「ウクライナ」、、126位「インド」


 日本の2022年の順位は54位(2021年56位、2020年62位)と、年々少しづつ上がっているものの、かなり低いです。G7(先進7か国)の中でも最下位です。
 その理由は、「日本人は働きすぎで休暇も取りにくい」(「人生の自由度」の低さ)、「積極的に寄付をおこなったりボランティア活動に参加したりする風習が根付いていない」(「他者への寛容さ」の低さ)という評価によるものです。
 また、日本人は謙遜したり、他人と比較したがる傾向があり、幸せの自己評価が低いこともあげられます。

 一方、連続6年間、首位に輝き続けているのがフィンランドです。
上位にはヨーロッパ諸国が多く、そんな上位を占める国々の特徴は、「社会保障が手厚い」、「質の高い教育制度が充実している」、「ジェンダーレスの概念が受け入れられている」などです。
 そして、フィンランドでは透明性のある政治を実現し、富の再分配がスムーズにおこなわれる仕組みが整っています。
モノを入手するよりも、家族や友人たちと一緒に自由な時間を過ごすことに幸せを感じるという文化が根付いているのも大きなポイントです。
学歴は重視されない傾向にあり、個々が幸せのためにより自由な道を選べる環境が整っていて、子育て支援も充実しています。

 かつて、発展途上国ながら世界8位(2013年)となり、“世界一幸せな国”として広く知られるようになった「ブータン」は2019年度版で95位にとどまって以来、このランキングには登場していません。
ブータンの幸福度が高かったのは、情報鎖国によって他国の情報が入ってこなかったからであり、情報が流入し、他国と比較できるようになったことで、隣の芝生が青く見えるようになり、順位が大きく下がったと言われています。
 それまで幸せを感じていても、人と比べ始めたとたんに幸福度が下がります。

 日本の幸福度が低いのも、他人と比べたがる気質も関係しているといわれています。
 近年は特に、SNSの普及などにより、他人と自分を比較して、劣等感や不安感が高まり、幸福度が下がる人が増えているそうです。

 参考にするのはいいのですが、あまり周りを気にしないで、皆が幸せになって欲しいと切に願っています。

 そういえば、昔、教わりました。